甘いあなたと裏腹なことば
「今日はありがとう。会えて嬉しかった。しかも家まで送ってもらっちゃって」
午後8時。家路に就く私達
夏だからかまだ空は少し明るい
「いいのいいの、俺も会えて嬉しかったし、それに…柚香は俺の彼女でしょ?」
そういって照れるゆーくん
私…ゆーくんの彼女だ…
優しくて甘いゆーくんの私への態度はどう見ても恋人への態度で
とても嬉しいけどなんだか現実味がなくて、"彼女"になって4ヶ月くらい経つけれどまだ実感できない。
そんな私ができるのは微笑むだけ
「笑ってる柚香、可愛い。」
「ありがとう、ゆーくん。好き…だよ?」
精一杯の言葉を紡ぎ、伝える。
「ほんと可愛い(笑)」
「ゆーくん、」
「なあに?」
「……あのね、」
「うん。」
空気が、視線が、会話の間が
すべてが私を不安にさせる
「……ちゅー、して?」
だからゆーくん、安心させて?
キスをして、私はゆーくんの彼女だって教えて
形にして
どんな形でもいいから
「ふっ…柚香のキス魔(笑)」
そういってあなたは私にキスをする。