お願いだから、つかまえて
結局、何も解決しないまま、月曜はやってきたわけだけど。
私はとにかく寝まくって現実逃避をしたおかげで、だいぶすっきりして月曜を迎えることができた。
心配する修吾を笑顔でかわし、友理奈ちゃんの長戸を潰せコールに苦笑し、確かに長戸さんは少しずつ着実に修吾との距離を詰めている様子を静観し。
仕事が忙しいことをこれほど有り難く思ったことはない。
佐々木くんからは特に連絡もないし。
私は平常心を取り戻しつつあった。
一週間かけて、私はとにかく、浮気は隠して、何事もなかったように、今まで通りに日常を送る覚悟を決めた。
「お邪魔しまーす」
で、日曜日。
ランチを修吾として、そのまま修吾の部屋に向かった。
「何だよ、他人行儀だな、急に。」
「…そう?」
「お邪魔しますなんてここんとこ言ったことなかったろー」
「………」
馬鹿なのか、私は。
というか、やっぱり隠し事とか向いてないんだよなああぁ…
早くも心折れそうだったけれど、修吾は特に気にした様子もなく笑ってすたすたと2LDKの部屋に入っていく。
私もその後に続き、勝手知ったるキッチンでお茶を淹れながら、
「香苗がねー、たぶん山園さんと結婚することになるって。」
「へえー、香苗ちゃん、ついに!」
結婚、というワードを出してちょっと修吾の様子を伺ってみるけれど、無邪気なものだ。
「そのうち修吾も山園さん紹介されると思うな…」
と、突然後ろから抱きしめられて。
ガタッ、と私はポットの蓋を床に落としてしまった。