龍神のとりこ
0.エピローグ
くちびるが離れた。

「・・ジン?」
ふいに顔を上げ、外に目を向けたジン。

「・・なんでもないわ。」

こちらから表情は見えない。
愛おしさで女の長い髪を指で遊ばせる。


ジンが顔を戻す。
その口元をほころばせている。
くちびるがゆっくりと降りてくる。
くちづけが再開する。

ジンの膝に頭をもたげていたシオウは、彼女の背中に手を回した。

シオウはまだ知らなかった。コハクの石化が解かれる時が来たことを。

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