龍神のとりこ
29.暗い瞳
「そこまでよ。」

倒れたシオウの前にジンが大きく手を開いて立った。

背後でシオウのうなり声が地を這うように響き渡る。

弱い響きだった。


「道をあけろ。ジン。」

「コハク、もう勝負はついたわ。」

冷静な瞳でコハクを見つめる。


「早く手当てしないと。お互い取り返しがつかなくなるわよ。」


コハクの胸も真っ赤に染まっていた。

「そこをどけ、、っ」

うなるような声だった。


「コハクっ、、」



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