龍神のとりこ
34.巫女に
濃い緑の息吹を感じた。

撫でるような風が気持ちいい。


伸びをする。

するりと指に触れるものがある。引っ張る。




「ん、、」

ぁ、とトーコは口もとに手を当てた。
トーコが引っ張ったのは、銀色のぴかぴか光る、コハクの髪だった。

すっかり腰あたりまで伸びたコハクの髪をさらりと撫でる。

ふふ、と笑みがこぼれる。

太い腕がトーコを抱きしめた。


「何を笑ってる?」
気だるげな声が頭上から響く。
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