龍神のとりこ
13.高鳴る鼓動
「いいか、俺から離れるな。」
ふいに抱きしめられ、手のひらにすくった湧き水がこぼれた。
あっとあけた口は逞しい身体で塞がれる。

親鳥のようにトーコを胸に深く抱きしめるコハク。その固い表情がただならぬ事態を知らせている。

な、なに??ーーー、
トーコの心臓が早くなる。


鳥たちのさえずりだけが聞こえる。



「、、ジン、、?いや、まさか、、」
コハクが眉根をわずかに寄せた。


若すぎるーー、
迫り来る気配に遠い記憶をたぐる。

それは昔に見知っていた妖艶な巫女、ジンの気配に似ていた。

あの頃と同じ気配?あり得るはずがない。。


きゅ、っとトーコもコハクの腕を掴む。
「待て、、」

コハクはトーコを抱いたまま大樹の影に身を潜めた。




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