龍神のとりこ
16.巫女 ジン
ふわり、と地上に降りた。

ぐるぐる巻きの塊だったトーコを
穏やかな微笑を浮かべたコハクがそっと解いてやる。
「笑わないで。」
頬を赤らめて言うのがかわいいと見つめた時だった。

コハクは、はっとたき火の向こうへ視線を向けた。


「こんなところにいたのね、コハク。」

艶っぽい声が響いた。
他に誰もいないはずの世界で聞こえた声に
トーコも悟ったのだろう、身体をびくっとさせ
コハクの胸に寄った。

「誰だ。」

答えを知りつつ、コハクは言った。
トーコを抱きしめ、すばやく彼女に結界を張る。

くすっと笑う声が聞こえた。
「私が欲しいのはあなたよ、、コハク。」
しっとりと絡みつくような声。


暗闇から姿を現した妖艶で豊満な体つきの美女。
誘うような布を身体に巻きつけただけの恰好。


この人が、、ジンなの、、?

トーコは息を飲んだ。
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