あなたのヒロインではないけれど


なぜ、貴明さんでなくネイサンさんの話をするんだろう? 私が不思議に思って彼を見ると、その疑問を察したらしい貴明さんはほんのり笑う。


「ライアンと君はどこかギクシャクして見えたからね……あまり仲が良くないと感じて。ぼくの勝手な思い込みかもしれないけど……二人にはもう少しだけ打ち解けてくれたらと思う」

「……!」


貴明さんは気づいてたんだ……ネイサンさんと私のどこか気まずい空気を。なるべく表に出さないように、と言動には気をつけていたのに。


「ああ、気を悪くしないで。ぼくのただの勝手な願望なだけで、押し付けるつもりはないんだ。でも、ライアンは大切な友達だし。結実も大切な仕事仲間だから……これからも一緒に仕事をするなら、わだかまりは解いた方がいいかと思っただけなんだ」


……友達。ネイサンさんは友達で……私は仕事仲間。


“大切”でも、“仕事仲間”――あくまでも仕事だけの繋がり。


わかってはいたけど……彼の口からはっきりと告げられれば、心にダメージを受ける。


だけど、ネイサンさんを本当に大切な親友として扱って。彼の為にこうして私に話をしている。その思いやりと優しさに、胸が高鳴るのを止められなかった。


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