あなたのヒロインではないけれど



世界的に有名で何十年と世界中の子どもに愛されてきた、そのキャラクターたち。その世界にどれだけ入りたいと思ったか。

あの優しい世界なら、意地悪されたりしない。からかう男の子もいない。好きなことをしても怒られたりしないんだ。


だけど、どれだけ願ったって。本の世界にいけない……って。小学生にもなれば、ぼんやりとわかる。だから、せめて。大好きなキャラクターに現実にそばにいて欲しいと思うようになった。


けど、内気な私におねだりなんて難しくて。お母さんに内緒で端切れを使い、慣れない針仕事をして作ったのだ。


何ヶ月も掛けてやっと完成した……。


それを二人に話すことはできなかったけど。今、広げてる絵本がそのキャラクターの出る童話だった。


すると、驚いたことをゆみちゃんが言ったんだ。


「それ、この絵本のクマちゃんだよね? とってもかわいいじゃない!」


ちょっと触らせて? とゆみちゃんは泥まみれのクマを、躊躇わず抱きしめて頭を撫でてくれたんだ。


「世界にひとつだけの、あなたのクマちゃんね。そりゃ無くしちゃダメだわ。たかあきもたまには良いことをしたわ」

「べ、別に! ただ気になっただけだから」


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