あなたのヒロインではないけれど






……というわけで。


氷上さんとの待ち合わせに指定された、SS社そばにあるカフェに到着。


すると、氷上さんの他にもう一人(おそらく商品企画部)がいたんだけど。


その姿を見た瞬間、回れ右して帰りたくなっても仕方ないと思う。


だけど、私を見つけた氷上さんがわざわざ席を立ってお迎えに来てくれ、今さら帰る訳にもいかなくて。不安と緊張を抱えながらそのテーブルに着く羽目に。


「ハイ! 君が噂のユーミちゃんか~想像通りだね」


輝くブロンドと白い肌とブルーの瞳、モデル並みに整った顔に浮かべるのは人好きしそうな柔和な笑み。


「紹介するよ、ライアン·ネイサン。SS社のアメリカ法人からこちらの商品企画部へ移動してきんだ」

「ネイサン?」

「HA HA HA! やっぱり日本人には不思議な名前みたいだネ! だけど、正真正銘本名だよ」


キラリ、と笑顔で白い歯を輝かせるネイサンさん。

……お姉さんさんみたいで変な呼びだ。


「ユーミはとってもチャーミングでキュートね! ボクの想像通りに、リトルウーマンのベスみたいだ」

「え……そんな。わ、私……そんなにかわいくはありません」

とてもとてもあり得ない喩えに、恥ずかしくなってうつむけば。ネイサンさんはまた「HA HA 」と笑った。


「さすが、タカアキが見込んだひとだね。今どきの若い女性で“リトルウーマン”で通じるなんて、アメリカでもなかなかないよ」

< 36 / 245 >

この作品をシェア

pagetop