あなたのヒロインではないけれど
……というわけで。
氷上さんとの待ち合わせに指定された、SS社そばにあるカフェに到着。
すると、氷上さんの他にもう一人(おそらく商品企画部)がいたんだけど。
その姿を見た瞬間、回れ右して帰りたくなっても仕方ないと思う。
だけど、私を見つけた氷上さんがわざわざ席を立ってお迎えに来てくれ、今さら帰る訳にもいかなくて。不安と緊張を抱えながらそのテーブルに着く羽目に。
「ハイ! 君が噂のユーミちゃんか~想像通りだね」
輝くブロンドと白い肌とブルーの瞳、モデル並みに整った顔に浮かべるのは人好きしそうな柔和な笑み。
「紹介するよ、ライアン·ネイサン。SS社のアメリカ法人からこちらの商品企画部へ移動してきんだ」
「ネイサン?」
「HA HA HA! やっぱり日本人には不思議な名前みたいだネ! だけど、正真正銘本名だよ」
キラリ、と笑顔で白い歯を輝かせるネイサンさん。
……お姉さんさんみたいで変な呼びだ。
「ユーミはとってもチャーミングでキュートね! ボクの想像通りに、リトルウーマンのベスみたいだ」
「え……そんな。わ、私……そんなにかわいくはありません」
とてもとてもあり得ない喩えに、恥ずかしくなってうつむけば。ネイサンさんはまた「HA HA 」と笑った。
「さすが、タカアキが見込んだひとだね。今どきの若い女性で“リトルウーマン”で通じるなんて、アメリカでもなかなかないよ」