男装少女争・奪・戦 ~男子校とか無理だから!!~ 【完】
「と、とりあえず……逃げるッ!」

鍵の開いた窓をガラリ

「心、早く!!
先に上れ!」

「う、うん」

一瞬躊躇した心

でもそんなヒマは無いと判断したのか俺の言葉に従う

心をできる限りの力で押し上げる

っつっても心、そこまで重くないから俺が勝手に力んじゃっただけ

「……っしゃ」

心が外に出る時、軽く声が漏れたが、気にする必要はないだろう

「心、今度は俺のこと、引き上げられる?」

「……わかった」

不安げに答えていたのは聞かなかったことにしよう

「心、お願い!」

俺がそう言うと、引き上げてもらう腕に痛みが走る

……ッ

……いや、痛くない痛くない

全然痛くない

「心、頑張れ」

確か頑張っている人に『頑張れ』っつっちゃいけないらしいけど

今はそれしかできない

俺が今できることと言えば、応援しかないから

「――――――――ッ」

再び腕に激痛



……ドサッ



出られた?

ここ……草地?

柔らかいな……

このまま眠ってしまいたい……

「みっちゃん」

心の声が"下から"聞こえた

……ん?

えっ…まさか……

「そろそろ……どける?」

「うわぁぁああああ!?」

柔らかいな、なんて眠りかけてんじゃねぇよ、俺

「ごめん、ごめんな!」

「反動で倒れちゃった僕も悪いから全然気にしないよ
こっちこそごめんね」

ああ反動で、反動でか……

……れ

「それ俺のせいじゃん!
俺が重かったからじゃんか!」

「そういうわけじゃな……」



「「「いたぞ!!」」」




「……く…て?」

「……心、こいつら……」

こいつらたぶん



さっき俺を追いかけてきたヤツらだ……
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