蝉鳴く季節に…
でも、杉山くんは笑ってた。
そんな私とは対照的に、笑っていたよ。




どうして、あんなに笑えるんだろう。








「陸上部ではさ、先輩達もみんな、杉山の入部を待ってるんだよ。あいつ、マジですごいからさぁ」

「そうなんだ…」

「長く付き合ってた彼女もいたってのに」

「そうなの?」

「うん、中学の時から、そん時の陸上部マネージャーとね」









そうなんだ…。

でも確かに杉山くんは、梨絵や恭子が騒ぐのも理解できるって思う。
人気があるのも当然かも。

私、男子に対してあまり思った事無いけど、杉山くんはカッコいいって思ったもん。





陸上部のマネージャーかぁ。

きっと、かわいい子なんだろうなぁ。









「でもさ、入院したくらいの頃に別れちゃったみたいでさ」

「え?」

「病気が原因じゃないかって言われてるけど、どうだろね。あたしも知り合いから聞いただけだし、ホントかどうかはわかんない。杉山から言ったとか、彼女からとか、騒ぎにしたい奴らが勝手に言ってるだけなんじゃないかなぁ。当人同士で決めた事なんだから、そっとしといてあげればいいのに」

「……そうなんだ」



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