蝉鳴く季節に…
私はそれから、ほぼ毎日と言っていいくらい、杉山くんの所に行ってた。



迷惑かな?と自分でも思ったんだけど、杉山くんはいつも、今日も来ると信じていたよと笑っておどけてくれたから、私は甘えていたんだ。


だってね?杉山くんと話していると、何て言うか…力を貰えたんだ。



言葉一つ一つが優しくて、優しいけど強くて、それがしっかりと自分の中に根付いていくのが感じられていて。




それが心地良かった。





私にとって杉山くんの言葉は、活力剤になっていたんだ。









杉山くんは、他の同年代の男子とは違ってた。

どう違うのかと聞かれると、具体的にここがとは言えないんだけど……。







小学生の無邪気な子供みたいでもあり、しっかりした考えを持つ大人みたいでもあり、そして笑顔はいつも、柔らかくて温かかった。









私が行くと、いつもジュースを開けてくれる杉山くん。

細い指をプルタブにかけて、持ち上げる時の関節の動きが綺麗で。






「水谷って、握力ないのかもな」





杉山くんは笑う。



違うよ?



ホントはね、開けてもらうのが嬉しくて、開けられないふりしてたんだよ。





ホントは開けられるんだよ。

でも内緒なの。


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