蝉鳴く季節に…
「クラスメイト…じゃないよね?」

「何言ってんの、千秋。杉山夏生はクラスメイトだよ」



え?


「入学式の時、先生が杉山の話してたじゃん」

「でも会った事ないよ?」

「そりゃそうだよ。入学してから一度も登校してないもん」

「へ?」



何それ……不登校?





更に眉間にシワを寄せる私に、濱田先生が苦笑いしながら説明してくれた。



「杉山は、病気で入院してるんだよ。入学前の春休みからな」

「千秋は杉山と中学違うから、わかんなくて当たり前だよ」




高校からの友人、恭子が笑う。


「あたしは杉山と同じ中学だからさ」

「じゃあ、どうして梨絵が知ってるの?」



私と同じ中学の梨絵が、一度も登校してないクラスメイトをどうして知っているのかな。



「あたし?あたしは陸上部の大会で杉山夏生を見てるもん。杉山って、長距離がすごいんだよ?」

「それに、結構顔もいいよね」

「うんうん!人気あった!大会の度に杉山、携帯持った女子に囲まれてさぁ。めっちゃ撮られてんの!」




盛り上がり始める梨絵と恭子。



私はもちろん、混ざれない。




だって、杉山夏生を知らないんだもん。







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