蝉鳴く季節に…
14
次の日、心配していた梨絵と恭子に昨日の事を詳しく話した。




昨夜、二人からメールがきていたけど、走って疲れたのと安心したのとで、返信を忘れて眠ってしまったんだ。










話を聞いた梨絵は、杉山くんと同じ事を言ってた。




「矢代の奴〜…!今日の部活の時にいじめてやる!」




梨絵はホントにいじめそう……。



でも、矢代くんは悪気があった訳じゃないし、杉山くんが元気だったんだから、それでいいと思うんだけど。





「で、千秋は今日も行くんだね?」

「うん、恭子も行く?」

「は?あたし?」

「だって同じ中学なんでしょ?」





私の言葉に、二人は顔を見合わせた。


やがてその表情が、悪戯っ子みたいな笑みに変わる。




「どうする?この子、どうしたらいい?」

「いやぁ…許してあげてよ?天然だから千秋は」

「何?どうしたの?」



二人は、ニヤニヤしながら私を見つめてる。



「どうしたも何も、杉山が待ってるのはあたしじゃなくて千秋でしょ」

「え?!」

「もっと欲張りになってよ〜。今まで一人で行ってたくせに、今更恭子を誘うなっての」
< 71 / 131 >

この作品をシェア

pagetop