蝉鳴く季節に…
杉山くんの顔を、まっすぐ見れない…。




そんな私が困っている様に見えたのかもしれない。



杉山くんは肩で深いため息をついた後、笑ったんだ。




「ごめん、入院が長いとワガママになっちゃうんだよな。ちょっと言ってみたかっただけだからさ」





ホント……?

ホントに?








ホントなら、どうしてそんなに悲しそうに笑うの?












悔しくなった……。






何もできない自分が、杉山くんの淋しさに応えてやれない自分が。


私は、たくさん杉山くんから貰ったのに…。




自信や勇気や…自分を変える為の教えをたくさん貰ったのに…。






私は今、杉山くんの淋しさに応えてあげられないなんて…。









「…ごめんね」

「え…何で水谷が謝るんだよ」

「わかんない…でも……ごめんね」






何もできなくてごめんなさい…。






私は無力だから…杉山くんにあげられる事が何も無い。


何も無い………。








私に力があれば、もっと大人だったら、今…杉山くんの淋しさに応えてあげられたのに…。





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