意地悪上司の笑顔の裏は。

「曽根川さん」
「何ですか」

山上係長の方を見ずに返事をした。


「そろそろ、俺のこと気になってきた?」


は。
思わず顔を上げると、彼と思いっきり視線がぶつかった。

「こっち見た」

さっきより目が細くなって優しくなる。
山上係長は時々この目をするから、心臓に悪い。一体どういう心境なんだろう。

「…部下をからかって楽しいですか」

きっと最初から彼は気付いていたんだ。私にあまり男の人の免疫が無いこと。だからこうして時々、からかって。面白がっているだけなんだって、しきりに自分へ言い聞かせる。

「からかってないよ。本気」

だから、ドキドキしちゃダメなんだって!
こんなの、この人からしたらただの暇つぶし!

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