では、同居でお願いします

「裕ちゃん……」


少しだけ、私の声が掠れた。

クッと眉根を寄せた裕哉は、わずかに息を飲み、すぐに目を逸らせて呟いた。


「部屋……怒らないでね」


「…………ああ、そうですね」

ガクッと私は肩を落とす。

(……ちょっと期待してすみませんね)

けれどそれがまた裕哉らしくて私は笑えてしまった。

顔を上げて裕哉を真っ直ぐに見つめる。

もう迷うことなく言える言葉を、私ははっきりと伝えた。

「怒らないよ。だってそんな裕ちゃんが好きだから。どんな裕ちゃんでも大好きだよ」

そう告げた途端、また強く強く抱きしめられた。

「海音ちゃん……ずるい」

「ず、ずるい?」

「そんなこと言われて……我慢できない……」

「が、我慢!?」

ドクドクと心臓が急に拍動を強める。

さっきまで子どものように見えていた裕哉が急に男らしく感じてしまう。


腕の強さも、硬い胸板も、高い背も、裕哉の使う香りも。


その全てが私の感情を高ぶらせて、胸が苦しくなる。

「ね……我慢してたけど、もう……いい?」

「い、いい!?」

さっきからオウム返ししかできていない。

声もひっくり返っている。

きっと顔どころか耳まで真っ赤になっているのが自分でもわかる。

(いいって何!? 何、何!!)

ドクンドクンと心臓は真冬の日本海のように荒らぶっている。
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