年下くんの電撃求愛
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ミラーボールは、ディスコボールとも呼ばれていたらしい。

ディスコの全盛期は昭和51年から54年だとか。まだわたしが生まれていないころだ。

だからだろうか。ミラーボールの光の玉を浴びると、過去にワープさせられたような、不思議かつ珍妙な気分になるのは。


「本河ちゃーん、冷酒追加して冷酒ーっ!!」


同日、午後9時すぎ。

わたしは、そのミラーボールが頭上でくるくると回る部屋に、座っていた。


「あ、生も追加ねーっ!!」

「さっき頼んでた貝柱のつまみももう一個ぉ!!」


そしてさっきから、わたしに向かって飛んでくるのは、まるで市場の競りであるかのような、威勢よく元気の有り余る声たち。

わたしは死んだ魚の目で「……はあい」と返事をすると、壁に取り付けてある白い受話器を上げ、「もしもし!!注文お願いします!!」と、室内の騒音に負けない、張った声で呼びかける。

クエスチョン、ここはどこか。アンサー、おじさまたちの憩いの場。居酒屋カラオケボックスだ。


『……今日はもう一つ、お前に業務命令があんだよ』

『え?』

『仕事後、また交流会やるから、お前も来い』

『……え』


支店長からの業務命令とは、ここで開かれる飲み会に、わたしも参加しろというものだった。

メンバーは、他店の支店長やら主任やらと、ポストについている方々ばかりで、年齢層、男性率ともに高め。わたしが一番年下だ。

支店長たちは、交流会と称して定期的に集まっており、会のお酌係としてわたしが駆り出されることは、今までにも数回あった。

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