透明少女
7月31日
明日から中学三年生の夏休み
それは夏休みとは言ってもとても遊ぶ余裕などないものだ。とくに、いろはの通う市立風見原中学校はこの辺りでは結構有名な進学校だったため他の学校よりも更に重たい空気となっていた。
だが、いろはは違った。
地元校への進学を決めていたからである。今のいろはの成績はこの学校では下の中、だが地元校へ進学するには問題ない成績である。いろははどうもピリピリした空気が嫌いでテスト前などはほかの人の緊張した空気に押しつぶされそうであった。

・・・みんなはどうするんだろ
そんな事を考えながら窓の外をぼんやり眺めていると後ろの席から手紙が回ってきた。
夏休み遊ぼーよ
乱雑に書かれた文字。澄真(とうま)からだ。
澄真は幼なじみでも何でもないのだが、中学に入ってから知り合い仲良くなった。特に恋愛感情などはなくどちらも澄真もいろはも異性として見ていなかった。
OK、澄真もそんなに勉強しないでしょ?
そう書いて澄真に渡そうとしたが、紙の裏に
和真(かずま)と愛奈(あいな)も誘って
と書いてあるのを発見した。
和真と愛奈も中学校に入ってから仲良くなったのである。
宮西和真と早瀬愛奈と安藤いろは、そして白山澄真。この4人でいつも何かすることが多かった。遊んだり、勉強したり。
でも、卒業したらきっとバラバラになるんだろうな。
考えると少し切なくなった。
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