俺と結婚しろよ!
分かってる!
ちゃんとどころじゃない!!
あのパフォーマンスは、Fにしか出来ないんだ。
あの、おかしいほどの正確さ。
それでいて、人を惹きつけるアレンジ。
音色。
そして、あのオーラ。
悔しい。
悔しいよ。
あたし、こんなに頑張っているのに、賢ちゃんたちには全然追いつけない。
「さ。メシ食ったら、家まで送ってくぞ」
賢ちゃんはそう言って、洗い物を始める。
え?
もう帰らなきゃいけないの?
そんな言葉が喉まで出てきた。
賢ちゃんはチャラいらしいし、変なことばかり言うけど、一緒にいるとすごく楽しいんだ。
時間もあっという間に過ぎていくんだ。
「咲良もライブ間近で大変だろ。
ライブ終わったら、ゆっくり遊びに来いよ」