俺と結婚しろよ!
そして、賢ちゃんも黙っていない。
「アレやろうぜ!
優弥に却下された、リハのMC」
「おっ!いいね」
慎吾さんが頷いた。
完全に賢ちゃんたちのペースに乗せられているあたし。
何も言えず、ただお馬鹿なFを傍観する。
蒼さんはわざとらしく咳払いをして言った。
「どんな娘が好きなの?」
「そうだな。
……新沢咲良!
おめぇだよ、おめぇ!!」
「はい、咲良さーん!
ステージ上がって!」
何なの、これ。
これこそ茶番だ。
唖然とするあたし。
そんなあたしの手を、無理矢理引く賢ちゃん。
賢ちゃんの触った場所がすごく熱くて。
そこから真っ赤になって、ドキドキするんだ。
ふと賢ちゃんを見上げる。
少し濡れた黒髪。
上がった口角。
笑って細くなった瞳。
全てがあたしのツボをくすぐる。
こんなあたしの気持ちなんて、賢ちゃんは分かっていない。
あたしの手を持ったまま、茶番を続ける。