俺と結婚しろよ!
ガチャッ……
何となく開けたそこには、あたしに背を向けた上半身裸の男がいて。
「いやん!」
変な声が聞こえる。
そして脳天気な声で、
「お前ら、もう帰ってきたの?
俺、ビールでカァッとやりてぇんだよ!」
なんて言う。
はぁッ!
あたしの馬鹿!!
あたし、Fのことを考えすぎて、トイレと間違えてどこかの楽屋へ……
「ごっ……ごめんなさい!」
慌てて逃げようとしたが、
「え?」
驚いて振り返った彼と目が合った。
「え……」
あたしも目が離せなくなった。
ドキドキドキドキ……
鼓動が最高潮に達する。
まるで吸い寄せられるかのように動けなくなる。
だって……
あたしの前に立っている半裸男……
賢ちゃんだったから。