俺と結婚しろよ!
賢ちゃんの家に行くと、やっぱり高級霜降り肉が置いてあった。
すでに常温に寝かせてあって、スパイスで味付けがしてある。
さすがだ。
賢ちゃんがドヤ顔であたしのコメントを待っていたので、あえてスルーしてやる。
すると、
「思い通りにいかねぇな」
小声で呟いた。
そうだよ、あたしはもう、賢ちゃんの掌の上で転がされたりしないんだから。
あたしは、そこらの女とは違う!
「そういえば賢ちゃん?
ライブ、もうすぐだね」
あたしの言葉に、
「あぁ……」
やっぱり複雑な顔をする賢ちゃん。
あたしに馬鹿をさせることを、いまだに引きずっているのか。
賢ちゃんこそいつも馬鹿をしているのに。