俺と結婚しろよ!
「ひでぇよな、この業界。
俺、一般人になったら、咲良と結ばれるのかな」
「ううん……」
あたしは首を振っていた。
こんなあたしを、賢ちゃんは驚いた顔で見る。
「Fの玄は好き。
カッコイイし、カリスマだし。
いなくなると、寂しいなあたし」
「咲良」
賢ちゃんはすっごく優しい顔であたしを見る。
その顔を見るだけで、胸がキュンキュン音を立てて、すぐにでも賢ちゃんに抱きつきたいと身体が疼く。
あたしの身体、賢ちゃんの温もりを求めている。
「じゃ、どうすんだ俺?
このままじゃ……」
「帰ろう」
まっすぐ賢ちゃんを見たまま、あたしは言う。
「賢ちゃんの家に、一緒に帰ろう」