俺と結婚しろよ!





そんな玄だから……




「万が一あたしのことを覚えていても、関わろうとしないだろうな」




あたしはぼやいていた。




そうなのだ、きっとあたしたちみたいな低級バンドなんて、彼の目にも入らないのだ。

なんだか残念だ。

あんなに優しくて面白いお兄ちゃんだったのに。






「まぁ、そうかもしれないな」




悠真は静かに呟く。




「でも!咲良には俺がいるぜ!」



「だよね、悠真!!さすが親友!」




あたしは笑顔で笑っていた。




いいんだ、今はFに相手にされなくても。

いつか絶対ビッグになってやる!!





この時のあたしは、思いもしなかったんだ。

このあと、あたしの運命がガラッと変わることを。




< 9 / 451 >

この作品をシェア

pagetop