好きって、伝えたら



冷蔵庫からケーキを取り出して、お皿に移してテーブルに並べる。


夕空はチョコケーキを。

アタシはいちごのショートケーキを。


手を合わせて合掌して、さっそくショートケーキを口に運ぶ…



「甘い!」


『そりゃ、ケーキだからな』


「あ、でも来年は夕空の誕生日も一緒にお祝いする。」


『へー、ケーキ作ってくれんの?』



チョコのショートケーキをアタシの口に入れた夕空。


口にほろ苦いしっかりとしたチョコが口の中に広がる…───



「美味しい!!
って、作る…頑張って料理勉強する…」


『ははっ、楽しみにしとく。』


「それに、盛大に祝ってあげる…」



今までの分、全てを込めて。


夕空が泣いて喜ぶぐらい…いっぱい色々考えるから。


だから…



「だから…ずっと側には居てよ。」



すると、夕空は目を丸くしてアタシを見た。


そして、歯を見せてにっと笑った。



『当たり前だろ?
俺の側を離れんなよ…
って、離してって言っても絶対に離さねぇけどな!』


「なにそれ、そんなこと言わないし」



そうクスクス笑うと、夕空もクスクス笑った。


部屋に響く二人の笑い声…───


そして、甘いケーキをお互いの口に運んだ。


外に行くのもいいけど、やっぱり家での二人きりの時間が好きだ。


夕空が笑ってくれる。

それだけで嬉しくて嬉しくて…





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