フィンセはナンバー1

「勝手に決めないでよ!」

 あたしは、唇を尖らせながら文句を言う。

「まぁーまぁー。会うだけでもいいから、会ってきたら?」

 お母さんが、台所から顔を出す。

「お母さんまで!」


 認めたわけじゃないけど、どんな人か気になるので、とりあえず、お父さんと一緒に相手の家に行くことした。



「お父さん……。本当にここの家なの……?」

 あたしは、唖然とした。

 到着した所は、何百坪もある豪邸だったからだ。

「そうだよ。家も豪華だろ?」

 そう言うと、チャイムを鳴らした。

「はいー」

 インターホンを通して、中年の女の人の声が流れてきた。

「あのー。坂口ですが……」


 お父さんが、名前を言うと、門がゆっくりと開いた。

 あたしとお父さんは、門を通り抜け、庭に入っていった。
 庭は花壇が、きちんと手入れしてあって、花が綺麗に咲き乱れていて、その横には、噴水がドーンと建っていた。


「お待ちしておりました」


 家の中から、インターホンから流れたてきたと見られる、女の人が出迎えてくれた。

「旦那様は、奥でお待ちです」

 どうやら、この人はメイドさんみたいだ。

< 2 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop