フィンセはナンバー1

「日直ー!次の時間に使う歴史の資料を用意しておいてくれ」

 昼休み。担任の山口先生が、教室に来て声をかけた。


「あたしだ!」

 あたしは、ガタッと椅子から立ち上がった。

「琴音、あと、10分しかないんじゃない?」

 友達の未来(みく)が、チラッと時計を見る。

「取りに行ってくる!」

 あたしは、慌てて教室を飛び出した。


 資料室から、歴史の資料を持って、急いで教室へ戻ろうと、階段を上って行った。

「ねえー。りく!穂乃花と本当に付き合ってないの?」


 階段の踊場で、りく君が女子の群に囲まれていた。


 今日は、りく君ー。学校に来てたんだ……。

 穂乃花との話を聞くと、まだ、心臓がギュッと縮む思いがする。

 でも、何の関係もなくなったんだし、りく君が誰と付き合おうが、気にすることはない。

 あたしは、足早に横を通り過ぎようとした。

 一瞬、りく君と目が合って、ますますあたしの心臓の鼓動が速くなる。

 あたしは、慌てて階段を途中まで上りかけた時、

「坂口さんー!荷物、運ぶの手伝うよ」

 階段を上がり終えた所で、南君が立っていた。

「南君ー。ありがとう」
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