あなただけを、愛してる。
「騒がれちゃったね。」
昼休み、社食にいた私と由奈のもとに桜井君がきて何でもないようにそういった。
「騒がれちゃったじゃないよ。私もちょっと軽率すぎた。」
桜井君が人気なのはわかってたのに。
この会社は噂が回るの早いって知ってるのに。
「俺は騒がれてラッキーだけどな。」
ちょっとうれしそうな桜井君。
「何がラッキーなの。桜井君騒がれてうれしいの?ドМなの?」
「ちょ、なんでそうなるんだよ。」
「だってそうでしょ?イジられたいって言ってるようなものじゃない。」
私はため息交じりでいった。
こんな醜い心を持った私なんかと噂になんかなったら桜井君がかわいそう。
それをラッキーとか、ありえない。
「もー相手が唯子だからでしょーが。鈍感。」
そういった由奈の声は私には届かなかった。