あなただけを、愛してる。
「俺ね、いつもけなげに頑張ってる唯子ちゃんのこと遠くから見てたんだ。で、本当に心から好きだなって思えた。すべてが。」
「…桜井君…。」
桜井君の目は真剣そのものでうれしかった。
でも同時に浮かぶのは社長のことで。
「…すごく、すごくうれしくて。…桜井君みたいな人に好きになってもらえるなんて夢みたい…。でも私、その…好きな人がいて…」
突然の桜井君からの告白に動揺してうまく言葉が出てこなかった。
でも、涙ぐむ私を彼はやさしい笑顔で包んでくれた。
「うん。なんとなくそんな気はしてたよ。今日だってそのことで眠れなかったんじゃない?」
うつむく私。
彼は、なんて鋭いんだろう。
「でも俺そんなきっぱりあきらめるつもりないよ?唯子ちゃんがその人を想うように俺は唯子ちゃんのこと本気で想ってる。唯子ちゃんがその好きな人と正式に付き合うまではせめて好きでいさせてほしい。」
彼の予想を超える発言に鼓動は高鳴っていくばかりで。
「唯子ちゃんが好き。」
彼はそういって私を抱きしめた。