あなただけを、愛してる。
「私、身の程はわきまえてるつもりですよ。私は社長の彼女なわけではないし、怒る理由がないんです。寝不足だって私が勝手に起きてただけのことであって…。わがままばかり言える立場じゃないんです、私。」
彼は私の目をしっかりと見つめていた。
「……彼女じゃない、か…」
自分が言った言葉なのに、改めて言われると傷ついてしまう。
たまらなく好きな人の、彼女にはなれない事実。
「そう、でしょ?」
そういった私を彼は勢いよく抱きしめた。
気づかないうちに涙があふれだしてきた。
いつもならすぐに唇を奪われるのに、今日は抱きしめたまま動かない彼。
「しゃ、ちょう?」
「晴。晴って呼んで。」
「え…」
彼は私をきつく抱きしめてるけど声は消えてしまいそうなほど細かった。
「…は、る。」
「唯子、好きだ。」
耳を、疑った。