あなただけを、愛してる。
Ⅵ said晴



約束をすっぽかしてしまった日から彼女からの連絡はなかった。


俺の中で唯子はもうただのセフレという思いはとっくに消し去られ、一つの大きな存在になってしまっていた。


そんな思いを抱えながらも現実には金井メイと関係を続けるしかない俺。




一番会いたい人からは怒りの連絡も、心配の連絡もなし。


唯子が俺に想いを寄せているのは見ていればわかる。


だから心に少し余裕はあったがそれでもこういう時連絡がないと不安になる。


彼女にとって俺はどういう存在なんだ、と。


いつものように社内に回る噂にのってやってきた。


唯子が寝不足で可愛い顔が台無しだと。


俺のせいだ。


彼女に無理をさせてしまったことを後悔しつつ、俺のために起きててくれたとうれしくも思う。


本当に小さくてどうしようもない男だ、俺は。



 
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