『忍姫恋絵巻』
「在政様を偽るなんて……やめて」
だとしたら、許せない。
あの人は、たった1人しかいない。
「な……幻術を破った?いや、確かに……」
動揺した六幻が、目を見開いてあたしを見る。
在政様の姿をしてるのは、相変わらずだから、完全に幻術が解けたわけじゃない。
でも……。
中身は全く違う!!
「その顔で、体で……言葉を発するのはやめて。我が主への冒涜とみなす」
あたしは、ボーッとする体を無理矢理起こして、懐刀を取りだし、抜いた。
「ほう、姿形はまだ桜牙門の当主に見えているか。なら、殺せるか、私を!!」
狂気じみた笑みで叫ぶ六幻に、あたしは唾を飲み込む。
幻でも、こうして対峙するのは辛い。
嫌な事に、声まで在政様そっくりだ。
震える手を誤魔化すように、懐刀を握りしめる。
「才氷、無茶をするな。こういう時に俺がいる」
そう言って、赤は前へ出ると、片手を六幻へと向けた。
「俺の女に手を出した罰だ、覚悟しとけ」
ボワッ……バチバチバチッ
赤を包み込むように、炎が巻き起こる。