全てをくれたあなたに

そして部屋の前まで行き、周りに何も無いか確認し、取り敢えず遠くから窓の中をのぞき込む。



しばらくそうしていると部屋の中で動きが見え、雲の間から差した月明かりが女の姿を浮かび上がらせた。



同時に俺の姿も月明かりに照らされ、女が俺に気づいたのだろう、女を見ていた俺と目が合った。



すると女はすぐに目をそらし、しゃがみ込んでしまった。



特に騒ぎ立てる様子もないので俺は窓のそばまでより、窓をコンコン、と小さくノックした。



恐る恐る、と言った感じで立ち上がる女。




その姿を見て俺は衝撃を受けた。



足元まである黒いストレートの髪の毛に大きなたれ目から見える真っ黒な瞳。

小さくもスッと通った鼻にぷっくりとした唇。


小さな顔にそれらがバランスよく配置され、幼女のような顔立ちにより勘違いしそうになるが、やせ細った体の胸元の膨らみから高校生程だと思われる。



しかし体の前で組まれた手首には鉄の手錠が嵌められ、脚にも鉄の足枷がされ、そこから伸びる鎖はベッドへと繋がれている。
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