無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

「あなたたちはどうなの?」


「今、結婚したところで家庭を顧みることができずに

 速攻離婚されてしまうでしょうね」



 他人事のようにそう言う我が息子を見て、西園寺夫人は溜め息をついた。


「やれやれ、しょうがないわねぇ

 翼くんはどうなの? そういう人はいないの?」


「ええ、残念ながら

 今は仕事を何よりも優先したいので、なかなか……」


「遥人くんはしっかり真優ちゃんを捕まえたっていうのに

 あなたたちってば、

 そんなんじゃだめよ、恋をしなさい 恋を」


 その後も続いた夫人の説教に、時々微笑んで答えながら、

 鈴木は青木邸の様子を思い出していた。



―― 玄関へと続く路を縁取っていた花壇。

  まだ花は付けていないが、


 あの葉はアネモネだった……
< 133 / 316 >

この作品をシェア

pagetop