無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 常務の努力を前にあきらめるしかないと思いながら、

鈴木はゆっくりと珈琲をおとす作業に取り掛かった。


 珈琲の入ったカップをテーブルに置くと、

西園寺常務はソファーの上に伸ばしていた足を床に下ろした。


 BBB BBB

 テーブルの上に置いた鈴木のスマートフォンがメールの着信を告げ、

鈴木は何食わぬ様子でメールを開きすぐに閉じた。


 アネモネからのメールではなかった。

 姉が凍らせた料理を宅配で送ったという知らせだ。



「最近スマホが気になって仕方がないようだけど」

 今度はソファーに埋もれるようにして座っている西園寺常務が

珈琲を片手に眉をひそめた。
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