無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 珈琲を片手に自分の席へ戻ると、


「鈴木さん、この書類なんですけど…」

 待ち構えたように、同僚の秘書が顔を出した。


「はい」

「どうしたらいいのかわからなくて――」


 見ればなるほど本人の迷い通り、ポイントが散在する漠然とした資料だった。


 鈴木は彼女に何を伝えたいのかを質問し、細かい点をいくつか指摘すると女性秘書はうれしそうに礼を言って離れていったが、


 次は先輩秘書が現れた。


「鈴木くん、ちょっといいかな」

「はい」


「これなんだけどね――」



 秘書たちは役員の大まかなスケジュールを、社内のウェブ上で閲覧することができる。


 彼らは西園寺常務が早退したこともすぐに把握したのだろう。
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