無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 ハンカチと手紙とギフトカードを胸ポケットにしまって、

 紙バッグと包み紙はバーテンに処分を頼んで会計を済ませると、未練がましく残る気持ちを少しは捨てられた気がした。


 マンションに帰れば、姉が送ったという凍った料理が届いているはずだ。

 それを軽く食べて早く休もう……そう思いながらエレベーターから出ると、

 エントランスからちょうど鈴木に向かってまっすぐに、美しい女性が歩いてきた。


―― ぁ


 大きめなサングラスも彼女の美しさを何も隠せていなかった。

 小さな顔の中心に通った鼻筋も、

 艶めく形のいい唇も、絹のように滑らかな肌も。



 歩く度に香り立つように揺れる髪も、長い足も……全ては特別なもの……。




 ロビーにいる誰もかれもが彼女に視線を向けた。


 女性は鈴木に気が付いたように、サングラスを外してニッコリと微笑んだ。


「蘭々」
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