無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

「アネモネさんですね」



 素敵な男性なら沢山見ているし知っている。



 真優お嬢さまの婚約者、桐谷遥人さま……

 西園寺家の御曹司洸さま……

 彼らに及ばずとも花菱百貨店の大石さんだって、振り返ってしまうほどに素敵な人だ。



 でもこの人は――…… 



「……こんばんは  宙さん」


 言いながら、ユキは耳まで赤くなるような気がして慌てて目を逸らした。


 まだ何も飲んでいないのに、もうすっかり酔ってしまったように腰に力が入らないような……



「来てくれないかと思っていました」

「……ぇ」

 唇を開いたものの、なんと答えたらいいのかわからなくて声を出せずにいると、


「何にしますか?」と、

 宙はユキの前にメニューを置いた。
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