無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 今朝ホテルから出る前に、

 静かに寝息を立てている宙の近くに置いたチョコレートはパントムに向かう途中で買ったチョコレートだ。


 箱は小さくてチョコレートは三つしか入っていないが、

 そのうちの一つは真っ赤なハートのチョコレートだった。


 宙に渡さずにいた場合は自分で食べようと思っていた。


 宙へ特別なチョコレートを用意した理由は、彼が“友人S”かもしれないと思ったからだが、結局宙にはその事を聞けなかった。


 すっかり恋に落ちた相手に、正体不明になるほど一人でバーで飲んだなんてことは知ってほしくなかったし、

 宙が友人Sかどうかはユキにとってもう、さほど重要ではなくなっていた。
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