無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 そして今朝、

 朝帰りを少し険しい顔で迎えてくれた崎田にも、

 大石にあげたものとまったく同じチョコレートを渡した。


 本当は崎田には少し違うものを用意していた。


 けれども、予備に買っておいたものを渡すことになった理由が宙の存在にあることは、自分でもよくわかっている。


 もし昨夜宙に会わなければ、今頃はほんの少し崎田との未来を考えながら別のチョコレートを渡していたかもしれない。


 でも今のユキには、崎田をそんなふうに思ったことが、もう遠い昔のような気がしていた。


 チョコレートを渡す時に添えた言葉

『崎田さん、ずっとこのお屋敷にいてくださいね

 そうして頂けると私も安心です』


 派遣先での恋愛は禁止されていると言っていた崎田へそう伝えることは、崎田との恋愛はないというユキの返事だ。


崎田も大石と同じように、一瞬ガッカリしたような表情を見せたが、


「ありがとうございます」と、うれしそうに笑った。
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