無垢なメイドはクールな彼に溺愛される
それでもいつか、時が全てを癒してくれるだろう……。
そう気を取り直して久しぶりにスマートフォンを翳し、夕焼けを写真におさめた。
写真になった途端、美しい夕焼けも過去になった……こんな風に全てはやがて過去になる……。
『Ciel』に入り、時折バーテンとカクテルの話をしながら一人静かにグラスを傾けていると、
男女の二人連れの客が、間に一つ置いた隣に座った。
二人ともスーツ姿の彼らは仕事帰りの先輩後輩のようだった。
最初のうちは特に気にもしていなかったが、そのうち女性の話が耳に刺さってきた。
「どんなに忙しくても、おはようとおやすみくらいはメールできるでしょ?
恋人を大切に思うならそれくらい当然よ」
すると連れの男が言った。
「でもその彼は、しばらく忙しいって言っていたんですよね?
だったら仕事に集中させてあげてほしいなぁ」
うんうん、最もな意見だと心の中で頷いていると、今度は女性が
「でもね、その彼は恋人との時間はとれなくても他の女の子とはしっかり会っていたのよ!」
と、言う。