無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

「いえ、私が行きます 常務はお残りください」

「でも君はまだ体調も万全ではないだろう?」

「問題ありません 大丈夫です」


 元気がないというユキのことは気になったが、どちらが急を要するかと言えば仕事を取るしか考えられなかった。

 西園寺を選んだのはそういうことで、自分は所詮こんな生き方しかできない男なのだ。



 これも自分で選んだ道……と心に決めた。



「では、私はタクシーで羽田に向かいます」


 そう言って車を路肩に止めるよう指示すると、スマートフォンを手に持った鈴木はすぐさま関係各所に連絡を入れた。



 その毅然とした姿は、西園寺の頭脳と言われた優秀な秘書そのままだった。
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