無垢なメイドはクールな彼に溺愛される


  ***


「また青木のメイドの話?」


 車に乗り込むなり、西園寺常務が眉をひそめて睨んだ。


「ええ、ちょっと」


 言い訳する余裕もなく、頭の中はユキがどうかしたのかとそれだけで一杯の鈴木は崎田を睨んだりスマーとフォンを見つめたりと忙しい。


 呆れて開いた口が塞がらないでいる西園寺常務の電話がピピピと鳴った。


「はい

  ――  え? 事故?」


 事故と聞いて、さすがに鈴木も仕事モードに切り替わった。

 電話を切った常務に

「どうしました?」

 と、聞けば旭川の工場で事故が起きたという。


 状況はわからないが怪我をした社員がいるらしいということだった。


「とにかく正確な状況が知りたいな……」とつぶやいた常務は


「このまま行ってみるか…… 打ち合わせのほうは君に頼む」と言う。
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