瑠璃色の姫君
第5章

*旅の終わり




***



「なあ、フリュイ」


「はいー?」


「さっきの、巷で有名な“デコチュー”ってやつだよね?」



オーナーから額に口付けられて慌てて拭いた額にフリュイが同じように口付けてきたことがフラッシュバックする。


上手く流されたけれど、あれがどういう意味なのか聞きたいのだ。



「へ、“じこちゅー”? あー自己中心的な考え方のことか。困るよねぇ、周りのことも気にしてもらわないとー」



違う。


違うよフリュイ。


本気で言ってるの?


それとも流すつもりなの?



「いや、フリュイ。そうじゃなくてさ」


「さあ! 歌いたいので歌いまーす」



あーーまた強制的に流された。


あれ結構ドキッとしちゃったんだよ。


なんでそんなに上手く流せるんだよ。


思わずため息が出てしまった。



カフェ・レヴからだいぶ歩いた道のり。


もうここはシュトラント国内である。


行きはカフェ・レヴまでの道のりがわからず苦戦した道も、一度通ってきたわけで。


良いも悪いも、スムーズに城への道がわかってしまう。


それと同時にフリュイとの別れが近付いていくのだが。


フリュイがずんずん前に進んでいってしまうので、僕もそれに追いつけるように今まで歩いてきた速さより早足で歩く。


だけどなぜか全然足が速く進んでいる気がしない。


無意識のうちに旅を終わらせたくなくて、遅く歩いていたりするのだろうか。





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