瑠璃色の姫君




「ありがとう、おねーさん!」



しっかりお礼の言葉を言って、しゃがんで花壇を見つめる。


その中から、一際綺麗なルリマツリを一輪摘んだ。



「バベル!」



そしてそれを、僕に突き出す。



「ん? 預かっとけ、って意味?」



受け取ろうとすれば、バッと手を引かれた。


え、違った?


多少焦っていると、フリュイがおもむろに立ち上がった。


そしてまた、摘んだルリマツリを僕に突き出した。



「これ、バベルにあげる!」


「えっ」


「ほ、ほら、今までありがとうって意味でルリマツリをあげたかったんだっ」



真っ赤になった顔を逸らして、手だけが僕の方を向いている。



「……ありがとう」



驚いたけれど、嬉しくて嬉しくてすぐに頬の筋肉が上がる。


僕の手に渡ったルリマツリを、くるりと1回転させてみる。


そんな僕の様子に、フリュイはなんだかもっと照れたようで、早口で話し始めた。



「あーそうそう、や、約束通り教えてあげるよ」


「……旅の目的のこと?」


「そう、それ」



別れる時になったら、フリュイがこの旅に出た目的を教えてくれるという話になっていた。


僕だけには頑なに話さなかった、ずっとずっと気になっていた、フリュイの旅の目的である。



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