瑠璃色の姫君




「えー好きなだけ?」



頬の赤みに気付かれていることに少し恥ずかしさを感じながら、僕は意地悪を言った。



「バベル?」


「僕は君のこと愛してるけど?」



彼女の背中に左手を回し、右手で彼女の頬を捉える。


その時ふと、思った。


あれ、もしかして僕まだプロポーズしてなくない?


今日が結婚式なのに僕、馬鹿すぎない?



「い、今のプロポーズね!」


「はぁっ? ずっと待ってたのに今のが!? せめて〝結婚してください〟でしょ!」


「でも愛してるのは本当だし今日結婚だからもう遅いじゃん、あーとにかくごめん!!」


「むぅぅ、じゃあ愛してる証拠はっ!?」



また尖る薄桃色の唇を指で押した。


そしてまた頬に手を当てて。


君の瑠璃色の髪に指を絡ませる。


すると自然と桜色の瞳が閉じられる。



「これが証拠」



僕は彼女に、優しく口づけた。


嬉しそうに受け入れてくれた彼女。


愛してるの言葉がなくても、それだけで彼女からの愛を感じて僕は目を細めた。



窓の外で、風でふわりと舞い上がるルリマツリの花びらが見えた。





fin.



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