瑠璃色の姫君




「ごめんごめん。バベル面白くてさ!」



パチパチと手を叩いて僕を讃えるフリュイ。


そんな風に言われても、残念ながら褒められている気がしない。


はあ、とため息を一つ吐く。



困ったよ、レティシア。


君を見つけるにはこいつが少し邪魔かもしれないよ。



心の中でレティシアに声をかけていれば、おばさんが僕らを呼んで、



「休憩中かい? ちょうど良かった」



僕と何をしていないフリュイにおばさんがおにぎりを持ってきてくれた。



「おばさん、これ塩おにぎり?」



礼を言っておにぎりを頬張ったフリュイは、おばさんにそう尋ねる。



「そうだよ、美味いだろう?」


「うん。米と塩を合わせるのって美味いんだね」



感心するように頷きまくるフリュイを横目に「変なこと言うやつだな」と横目で見ながら米を口に含んだ。


おばさんは、僕より頭の回転が良かったらしく、目を丸くして手を広げた。



「当たり前だよ! 何、初めて食べたって言うのかい?」



えっ。


おばさんの言葉に、僕は文字通り固まってフリュイを見つめた。



「うん、初めて」



僕は、手からポロリと米が一欠片落ちるのを慌てて阻止した。


はい? 初めてって。


これには流石の僕も、おばさんも、それから馬も。


目をパチクリとさせてフリュイを凝視した。


いくら王子の役職に就く僕でさえも、幼い頃など特に、遊ぶ際などの時に軽食として口にしたというのに。



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