チェロ弾きの上司。
ほっぺにちゅ、くらいでごまかすしかないか……。

「ちゃんと唇にだぞ」

真木さんはニヤリと笑う。

……ばれてる。

「お前との初めてのキスが、お前から、とか、たまんないな」

変態っ‼︎

口から出そうになったのを、すんでのところで止めた。
口に出したら、ますます悲惨な目にあうこと、確実だ。

普通、こういうのって、男の人から、ロマンチックにされるものなんじゃなかろうか……。

「ほら」

テーブルから少し離れて、胡座をかいてるけど……。
本気らしい。

「大丈夫。好きな奴からしてもらうなら、テクニックとか気にしない」

はっ‼︎⁉︎
あたしに何を求めるつもりなの⁉︎
ただ、ちゅってすることしか考えてませんよ⁉︎︎

「あと5秒。5、4……」

初めてのキスの心の準備がカウントダウンされながらとか、ありえなくない⁉︎

あたしは慌てて真木さんの前に行き、立て膝になった。
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